かじかみ
「冬の旅」第四曲「かじかみ」
この歌曲集で多くみられる「回想」をうたっている。
24曲を通しほとんどの曲が短調で
その短調の曲の一部、長調に転調する場面は
かつての良き思い出の回想に使われることが多い。
この曲ではほんの4小節、「花は?緑の草は?」のみ長調に転調する。
温暖化現象の現代では、ドイツでも冬の厳しさはそうでもないらしいが
冬は一面雪に覆われ、5月になるとうそのように
いっせいに花が咲き乱れる。それほど冬と春の境がはっきりしている。
その一瞬、春の頃にが顔を出す4小節をどう表現するかで曲全体を支配する。
「かじかみ」日本語訳
ぼくは雪の中にむなしく
彼女の足跡をさがしにゆく
そこは彼女がぼくの腕にもたれ
そぞろあるいた緑の野だ
ぼくは地面が現れるまで
大地に口づけし
ぼくの熱い涙で雪と氷を溶かしてやるのだ
花はどこにあるのだ
緑なす草はどこだ
花は朽ちてしまい
芝も枯れはてている
思い出に残るものは
ここには何もないのだろうか
ぼくの苦しみが沈黙してしまえば
誰が彼女のことを語るのだろう
ぼくの心は死んだように
彼女の姿を冷たく凍えつける
ぼくの心が再び溶けはじめれば
彼女の姿も流れ去るのだ


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